人間心理ミニ講座

人間心理ミニ講座

ここでは、人間心理学科に関する施設や、私たち教員が授業の中で大学生に伝えていることについて、順次、紹介していきます。どうぞ、長崎純心大学人間心理学科の世界をのぞいてみてください。

人間心理ミニ講座 1

ミュラー・リヤーの錯視 ~心理学実験ⅰ(基礎)より~

岡嶋一郎 ・ 足立耕平

人間心理ミニ講座 1

①~③の3つの図形を見てください。横棒の長さはそれぞれどのように見 えるでしょうか?実は、3本とも同じ長さなのです。これは、「ミュラー・リヤーの錯視」と言うものですが、横棒にちょっと斜線を足しただけで、見え方が随 分と変わってしまうということを体験していただけたと思います。では、斜線の角度が異なれば、あるいは斜線の長さが変わったら、この見え方はどう変わるで しょう?結論を言えばこれまた変わってくるのですが、私たちは人間心理学科に入った1年生に対して、こういった実験を実際に経験しながら人間の心の特性や 測定方法を実際的に理解していくという授業をしています。

さて、交通安全のことを考えると、このようなちょっとした錯覚でも、大 きな交通事故に発展するということがあるかもしれません。一方、逆に錯覚を積極的に利用して、運転者に安全な走行を促す試みもあり、全国的に成功を収めて います。いずれにしても、人間の錯覚の特性を知り、運転者が安全に運転できるよう環境を配備することが、人々が暮らしやすい町や道路づくりをする上で大切 になるでしょう。人間心理学科生には、こんなふうに心理学的な視点から自分の住む街や生活を眺められるようになってほしいと思います。

また、「心理学実験ⅰ(基礎)」の授業では、レポートを書くことを通して、他者への適確な物事の伝え方について学ぶこと、実験者や被験者の役割を経験する ことを通して、心理学者としての人との接し方や倫理的配慮について学ぶことも目標としています。


(※純心大学ニュース第89号(2006)の記事に題名をつけて掲載)

人間心理ミニ講座 2

記憶の処理水準効果 ~心理学実験ⅰ(基礎)より~

足立耕平 ・ 岡嶋一郎

心理学実験ⅰ(基礎)では様々な実験を通して、人間の心の特性や測定方 法を理解していきます。今回は記憶の実験についてご紹介します。aさんに「図書・財産・宿題・計算・青春」など多くの単語を読み上げ、それぞれの単語に 「が」や「ざ」などの濁音が含まれているかどうかを判断してもらいます。次に、bさんに同じ単語を読み上げ、今度はそれぞれの単語が好きか嫌いかを判断し てもらいます。しばらくたった後に、読み上げた単語を思い出してもらうと、bさんの方が思い出せる単語の数が多い傾向があります。これは「処理水準効果」 という現象で、同じ情報でも単に音や形に関する判断をした場合よりも、自分に関連づけて判断をしたほうが記憶に残りやすいことが明らかにされています。つ まり、記憶をしたい事柄は、なるべく自分自身と関連づけて覚えるようにすれば良い、ということです。このように、心理学ではわたしたちの記憶の特徴につい ても研究がなされており、教育・学習の分野にも生かされています。 さて、前述の実験例では、bさんの記憶力がもともとaさんよりも良かったために、たくさん単語を覚えていただけかもしれません。そこで、より多くの人に実 験を行い、濁音の判断をした人たちと好き嫌いの判断をした人たちとで、思い出せる単語の数に差があるかどうかを検討することになります。この際に必要とな るのが、データをまとめ処理する能力、そして統計的な知識です。このようなデータ処理能力を身に付つけることも講義の目的のひとつです。

(※純心大学ニュース第90号(2007)の記事に題名をつけて掲載)