2023.08.10大学院

大学院講義紹介「臨床心理地域援助特論」

大学院の講義「臨床心理地域援助特論」では、地域で活躍している心理職(公認心理師・臨床心理士)をゲストスピーカーとしてお招きし、現場の「今」に関する講義を行っています。

今年度のゲストスピーカー7名は、精神科病院、心療内科クリニック、小中学校・高等学校のスクールカウンセラー、大学の学生相談、児童養護施設、乳幼児健康診査における心理相談など、多様な領域でご活躍中です。

講義内容

講義では心理職としての実体験やエピソードをご報告していただき、ディスカッションを通じて具体的な理解を促すことを目的としています。またそれに加え、ゲストスピーカーの先生方には、受講生が自分の身に置き換えてキャリアを考えていくためのヒントをご提示いただくこともお願いしています。

例えばスクールカウンセラーの場合、夏休みなど長期休暇中の仕事はどうなるのか、年間を通しどのような働き方になるのか、などなど。公認心理師のキャリアは多様であるため、院生のうちから多くの先輩の仕事や働き方について知っておくことが、それぞれの院生の可能性を広げることに役立つのではないかと考えているためです。

講義の様子

7月22日(土)に実施した講義と受講生の感想をご紹介します。

3時限目「わたし的*心理職の働き方~スクールカウンセラーを中心に~  」

応戸 絵奈 先生(大村共立病院)

4時限目「常勤職と非常勤職の経験から考えるリアルなわたしの働き方について 」

吉岡 朋実 先生(長崎県スクールカウンセラー/清潮会 さんクリニック)

 

当日は応戸先生・吉岡先生お二人で協働していただき、スクールカウンセラー場面における架空事例を用いたグループワークも実施しました。熱心なディスカッションで時間が足りないほどでしたが、実りある時間となりました。

受講生の感想

  • 応戸先生の講義を受けて、心理職の働き方について理解が深まった。心理職だからこそネクストステージ「次はなにがしたい?」と自分に向き合いながら働くことができるという魅力を感じた。また、話すことが苦手だったと話されていたが、そのようなことを感じさせない素敵なお話で、何事にもチャレンジしてみる、「できない」と決めつけすぎないことが大切であると学んだ。(人間文化研究科臨床心理学分野1年 堤)
  • 応戸先生は「働くことは縁が繋がっていくこと」と仰っていた。様々なことにチャレンジし、連携をしていくと人との繋がりは確実に増えていくのだろう。私自身、今現在でも縁により新たなチャレンジをしてみたり、助けられている場面が多い。従って、今後心理職として働いていく中でも、今までの縁や、これから形成していく縁を大切にしていきたいと感じている。(人間文化研究科臨床心理学分野1年 木須)
  • 先生たちの学び続けていこうという力やこれまでの経験をどのように生かしていけるのか考えながらも仕事を続けている姿勢を学び、素直にかっこいいと感じたし、心理の現場は一度、職に就いたとしても常に学び続けることが求められる現場だと改めて実感した。今回の講義で先生たちであっても悩みながらも仕事と向き合っているいわば等身大の姿をみて、これまで不安が漠然として不明確な部分も多かった「心理職として働く」という将来のことに対して、現実のイメージがしやすくなり不安がこれまでよりも減った気がする。今回の講義はこれからの自分の進路を考えていく上でもとても参考になった。(人間文化研究科臨床心理学分野1年 宮崎)
  • 公認心理師という職は、吉岡先生を初めとする諸先輩方がそれぞれの職場で、心理職として責任を果たす仕事を続けてこられたからこそ、国家資格として認められたという側面がある。そして公認心理師は、社会で活躍しながら活動領域を広げるいまだ開拓途中の専門職であり、私たちは吉岡先生のような姿勢で職務に臨まなければならないと感じている。(人間文化研究科臨床心理学分野1年 大宅)

担当教員より

受講生の感想からも、ゲストスピーカーの先生方がいかに実践的なお話をして下さっているかが伝わってくると思います。

本講義は、昨年度はオンラインと対面が半々でしたが、今年度はすべて対面で実施予定であり、受講生とゲストスピーカーの先生方の交流の場にもなっています。改めましてゲストスピーカーの先生方、ご協力くださりありがとうございます。今後ともどうぞよろしくお願いいたします。

人間文化研究科(臨床心理学分野)田崎・足立