2025.08.06大学からのお知らせ

広島・長崎被爆80周年を迎えて ―核兵器の惨禍を二度と繰り返さないために―

広島・長崎被爆80周年を迎えるにあたり、原子爆弾の犠牲となられた方々の御霊に、謹んで哀悼の誠を捧げます。
また、今もなお、被爆の後遺症に苦しまれている方々に心よりお見舞い申し上げます。

 

長崎爆心地からわずか1.2Kmにある純心女子学園(現在の長崎市文教町 純心中学校・純心女子高等学校)においても、214名の純女学徒が原子爆弾の犠牲となり、創立以来10年をかけ苦労の中で築いてきた校舎は全壊。さらに、初代校長シスター江角ヤスをはじめ学園関係者のほとんどが被爆し、生涯にわたって原爆後遺症に苦しみました。

後遺症による体の痛み以上に江角先生を苦しめたのは、自らが助かり、かけがえのない214名の純女学徒の尊い命を失ったことに対する校長としての自責の念でした。江角先生は学園を閉じ、亡くなった生徒たちのご冥福と世界平和を祈り続けることで、その責任を果たすことを決意しました。

ところが、江角先生が亡くなった生徒たちのご両親の元へ一軒一軒お詫びに伺った際、生徒たちが被爆の苦しみや憎しみではなく、純心で学んだ祈りや聖歌を口にし、感謝の言葉の中で穏やかな最期を迎えたことを親たちから聞かされ、純心の教育を決して絶やさないでほしいと懇願されました。江角先生は被爆による苦しみから立ち上がって純心学園での教育を再開し、生徒・教職員が心ひとつに世界平和のために祈り続けることが、亡くなった純女学徒たちへの供養であり、教育者としての責務を果たすことだと確信しました。

こうして、江角先生は九死に一生を得て生き残った自分の生涯を、学園の再開と発展、さらに亡き純女学徒たちに代わって彼女たちのご両親の老後のお世話のために捧げる決意をし、その使命を全うし尽くしたのです。

 

被爆80年、学園創立90年を迎えた今年、江角先生から引き継いだ純心教育の魂を新たにいたしたいと思います。本学はこれからも、被爆者の方々の声に耳を傾け、被爆の実相に触れることで命の尊厳に目覚め、殉難学徒をはじめ被爆者の方々の永遠のご安息を祈りながら、核兵器廃絶による恒久平和の実現に向けて行動に移すことができる学生の教育と平和活動の促進に努めてまいります。

2025年8月6日
長崎純心大学長 坂本久美子

[平和活動]体験談の聞き取り

2025年7月16日

恵の丘長崎原爆ホーム(本館)で被爆者の方の体験に耳を傾ける本学学生と教員。
絵は被爆者の方ご自身が被爆残留校舎の消炭で画かれたもの。

 

スケッチブックに書かれた画の説明

消炭画のための下画

山里国民学校 被爆残留校舎の消炭で画き母校へ贈る。
制作中 外部だけ辛じて残り 内部は全部焼けていた当時を想い辛かった。
元気だった生徒たちの声、校舎を走り回る賑やかな響きが―