2022.06.09心理教育相談センター

心理教育相談センター講演会「司法精神医療における心理職の役割~医療観察法に基づく精神科病院での実践から~」を開催しました(2022/5/28)

心理教育相談センターでは、5月28日(土)に、第20回長崎純心大学 心理教育相談センター講演会「司法精神医療における心理職の役割~医療観察法に基づく精神科病院での実践から~」を開催しました。オンラインでの実施でしたが、学生や現場の心理職(公認心理師・臨床心理士)、司法精神医療や児童福祉領域に携わっている方など、80名ほどのご参加がありました。

講演では、武蔵野大学人間科学部人間科学研究科 教授の菊池安希子先生より、医療観察法等、司法精神医療の基礎から、心理職の位置づけや求められる役割についてお話いただきました。

講演終了後には参加者の皆さまから寄せられた質問にも大変丁寧にお答えいただき、より一層、司法精神医療現場への理解が深まる機会となりました。

参加者の感想

参加された方々からは「学ぶ機会の少ない司法精神医療分野について、講演を通し理解が深まった」「難しいと思っていた医療観察法が適用される対象を整理することができた」「事例を通して支援の流れを知ることができ、よりイメージがしやすくなった」などの感想もいただき、大変有意義な講演会となりました。
今後もご参加いただける皆さまに役立つ企画を行っていきたいと思います。

参加した学生の感想(一部抜粋)

講習会を聞き、多くのこと学ぶことができました。その中でも、最も印象に残ったのは、実際の事例を通しての心理的介入過程についての話です。この話の中で具体的な心理職の仕事内容やクライエントとの接し方を知ることができました。
現在、心理職を目指し学んでいますが、まだまだ基本中の基本をやっている最中なのだと再認識しました。心理職はさまざまな活躍の場がありますが、その働く場所や特性によって、しっかりとその領域のことを学ぶ必要があると感じました。また、知識だけでなくその知識を実践できるような技術も身に付けていく必要があると考えました。今回の講習会を聞いて、心理実習での経験をより濃密なものにするために意識を改めていくことを決意しました。(地域包括支援学科3年 三浦)

講演会を通して、司法分野の公認心理師の職務は公認心理師法に明記されていることとあまり変わりませんが、リスクアセスメント、リスクフォーミュレーション、内省への働きかけ、「医療観察法から一般精神医療へ」ということから、心理介入プログラムの開発や、情報提供といった司法精神医療分野ならではの特徴的な部分もあることがわかりました。精神医療の心理職はもっと特徴的で特別な職務を行っているのではないかと思っていたのですが、ベースとなるものは同じであるということを知る事ができました。したがって、分野ごとに異なる特徴的な部分だけでなく、公認心理師法第二条に明記されている 4 つのことをしっかりと学ぶことができるようにしたいと思います。(地域包括支援学科4年 長濱)

私は司法・犯罪領域の勉強は難しいという印象が強く、苦手意識を持っていたのですが、今回、菊池先生のご講演において医療観察法の目的や処遇、事例等を踏まえながら司法精神医療について大変分かりやすく説明していただいたことで、司法・犯罪領域について「面白い、もっと知りたい」という思いがとても強くなりました。
また精神医療においては、リスク原則に基づく介入量調整や、本人の攻撃性・トラウマ反応を踏まえたケアプランなど、一人一人のニーズに合わせた支援を行っていると、今回の講演を通して強く感じました。同じ病気を有していても、育った環境や考え方によって必要となる支援は異なるということを学ぶことができ、将来自分が心理職としてケースに関わらせていただくときにも、一人一人が必要とする支援やニーズを丁寧にアセスメントし、その人に合った支援につなげられる心理職になりたいと思いました。
今回のご講演で教えていただいたことをこれからの学びにつなげていき、将来心理職として現場に出た時の実践にしっかりと活かしていきたいと思います。また、今回は新型コロナウイルスの関係もあり、リモートという形でのご講演となりましたが、いつか対面で菊池先生のお話をお伺いできる日を楽しみにしております。今回は貴重なご講演を本当にありがとうございました。(臨床心理学分野 博士前期課程1年 林田)

第20回心理教育相談センター講演会「司法精神医療における心理職の役割」~ 医療観察法に基づく精神科病院での実践から ~