2020.03.06医療・福祉連携センター

松浦市地域包括ケアシステム調査研究を実施しました(2020/02/27・28)

2020年2月27日(木)、28日(金)、本センターでは、厚生労働省主催の「第8回健康寿命をのばそう!アワード」において厚生労働省老健局長最優良賞を受賞された松浦市における地域包括ケアシステムの調査研究を実施しました。調査研究には本センターの教員(奥村助教と吉田助教)2人と地域包括支援学科1年2人、3年4人の学生計6人が参加しました。

1日目は松浦市長寿介護課を訪問し、松浦市地域包括ケアシステムの概要や地域ケア会議等に関する講義をしていただきました。松浦市では、高齢者が自らの意思に基づく、自立した生活ができる街の実現のために、様々な観点から地域づくりを行っていることが分かりました。例えば、住民が主体の住み続けられる地域づくりを行うために、地域診断を行い、結果を見える化し、それらを地域住民と共有をすることによって、住民が我が事として考え、地域に集いの場として社会資源の開発につなげていました。

午後は、松浦市が開催した「地域ケア会議」を参観し、会議では、その人がどのように「生きたいか」を大切にしながら、ソーシャルワークで重要となる人と環境の相互作用に着目し、本人と地域の人たちをどのように繋げていくか検討を行っていることがわかりました。

2日目は、「集いの場なごみ」と「みくりや駅前元気カフェ」に行き、地域住民による活動を見学しました。地域住民が我が事として集いの場を展開し、それらが住民主体の地域づくりにつながっていることを地域住民と交流しながら学ぶことができました。

また、「松浦市在宅医療・介護連携事業」に関する講義があり、松浦市と松浦市在宅医療・介護連携協議会が令和2年2月に作成された「モコちゃんに看取られる~あなたはどんな最期を迎えたいですか~」というDVDを視聴し、地域住民や専門職へのACPの普及啓発や地域における医療と福祉の連携を円滑かつ効果的に実施していることがわかりました。

最後に、学生が一人ひとり今回の調査を通しての気づきや学びを報告し、御礼の挨拶を行いました。学生たちは、松浦市の地域包括ケアシステムを学び、実際に見ることで、大学で学んでいる理論や知識と現場の実践を結びつけることができた、今回の学びを今後の大学生活に活かしていきたいと話していました。

なお、調査研究の概要は、既に本センターFACEBOOKに掲載しておりますので、ご参照ください。

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日程

<1日目>

  1. 松浦市地域包括支援センター訪問、挨拶
  2. 松浦市地域包括ケアシステムの概要、地域ケア会議についての講義
  3. 地域ケア会議 参観
  4. 地域ケア会議で得た学びの共有

<2日目>

  1. 松浦市地域包括支援センター訪問
  2. 地域住民による活動 参観「集いの場なごみ(市役所横)」「みくりや駅前元気カフェ(御厨町)」
  3. 松浦市在宅医療・介護連携事業に関する講義
  4. 松浦市地域包括ケアシステムについて、まとめ

参加学生の感想

  • 地域包括支援学科3年 田崎 詩織

今回の松浦研修を通し、前回参加の際に見えたことよりももっと多くのことを学べました。松浦市の地域包括ケアシステムでは、行政が大きく機能しているような印象を受けました。地域住民へのデータの提示し、実情を実際に見える化することで自身の問題意識が生まれ行動につながっているのだと感じました。また顔の見える関係が形成されていることにより、行政と地域住民の間に溝があまりないように思いました。松浦市の特性であるからこそできることではあると思いますが、その特性を最大限に生かし、より住みやすい街のシステムが構築されているのではないかと考えます。
一見人口が少ない、高齢化が進んでいるなどと弱みに見えやすいことが多く、また目につきやすいと思いますが、それぞれ街の特性の強みを生かし地域福祉を推し進めていくことの必要性を強く感じました。

  • 地域包括支援学科3年 鍋内 佳奈

松浦市では住民を巻き込みながら、常に多職種と連携した取り組みを行なっていた。松浦市という地域の特徴に合わせた地域包括ケアシステムを構築するためにまず地域診断をし、なにがニーズであるかを見極め、そして個別ケア会議を通して地域にどのようなニーズが潜在化しているのか、多角的な視点で検討し、常に施策へとつながるようにしていた。また、地域の人々とも交流を積極的に行い、地域診断の結果を還元して、一緒に地域づくりを行う姿勢を住民と関わっている様子や説明から理解することができた。説明の中に、「顔と顔の見える関係」「協働」という言葉が多く使われていたのが印象的で、職員の方々も意識しながら取り組まれており、実践できていることがわかった。
松浦研修を通して、地域包括支援センターの機能や専門職の役割、地域包括ケアシステムの構築等について理解することができ、非常に勉強になった。

  • 地域包括支援学科3年 町田 かえで

去年に引き続き、松浦研修に参加させていただきました。松浦市では、地域包括支援センターが地域住民のデータを見える化し、それらの結果を伝えるということに努めていた。このように、一人一人が地域の問題を自分の問題として捉え、地域を見つめなおすことが必要不可欠であるということが分かった。行政職員が、地区活動に顔を出すことで、顔の見える関係が構築されており、地域包括ケアシステムの姿が少しであるが見えたように感じた。

  • 地域包括支援学科3年 村上 史華

松浦市地域包括ケア調査研究に参加し、地域ケア会議では、多職種の視点から話し合うことで専門職相互の連携が必要であると学びました。また住民集いの場では、住民同士が健康体操を積極的に行うことで介護予防に努めていることや、近所付き合いの延長線で助け合いが自然と構築されていることがわかり、住民主体の活動であることを改めて実感しました。

  • 地域包括支援学科1年 木須 裕也

今回の研修を通して強く感じたことは「人と人とのつながりの大切さ」である。多職種連携による地域ケア会議や集いの場、世代間交流など、全てが人とのつながりを深めるものであり、そのつながりによって地域の人々がその人らしく生きていけるようになる。実際に見学へ行った集いの場のみなさんも本当に生き生きとしていたことが印象的だ。
つながり、つまり「顔のみえる関係」を築きあげることが、地域を活性化させる上で大切になってくる。そのためにも、関係の中心となる地域包括支援センターなどの役割の大きさ、また責任の大きさも感じることができた良い機会であった。

  • 地域包括支援学科1年 堤 桃恵

松浦市地域包括ケアシステムを学んで、特に多職種連携については地域ケア会議の見学によって事例を多角的に見ることにより、新たな情報が得られたり、ケアマネージャーの資質向上につながったりしていることが理解できた。また、松浦市では住民主体の活動が活発で、独居生活をする高齢者が集いの場でお話や体操などをしていきいきと生活していたのが印象的だった。松浦市は住民と行政が近くにあり、互いに意見交換しながら具体的に活動に取り組んでいると感じた。

 

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